【大河ドラマべらぼう】第23話
ナンバーワンの版元を目指し、日本橋進出を決断
「青楼名君自筆集」は日本橋進出の狼煙

【青楼名君自筆集】
北尾政演画 版元蔦屋重三郎
出所 国書データベース
販路拡大のために日本橋か、世話になった吉原の親父様たちへの義理を通して吉原か―。
大河ドラマ「べらぼう」の23話では、愛着のある吉原を離れ、日本橋進出を決断するまでの蔦重の葛藤が描かれました。蔦重が日本橋へ進出したのは天明3年(1783年)のこと。
この頃の耕書堂は、狂歌ブームを背景に狂歌の指南書「浜のきさご」などが飛ぶように売れ、絶好調でした。そして、蔦重は「江戸一の目利き」と呼ばれ、耕書堂は江戸でも大注目の版元に。そんな折、書物問屋の須原屋市兵衛が、蔦重に日本橋進出をすすめます。そしてちょうどその頃、蔦重の手がける錦絵「青楼名君自筆集」が西村屋の「雛形若菜」より低い評価を受け、蔦重は納得がいかず苦悩していました。過少評価された理由は、江戸の中心地から離れた吉原に立地する耕書堂の流通力の弱さでした。西村屋は交通の要衝でもあり、人々の往来で賑わう日本橋にあるため、江戸以外のお客から大口の買い付けがあり、全国各地へと商品が広がっていました。一方、吉原の耕書堂は江戸以外の地方では無名であり、信用力がなく、地方のお客からは相手にされません。そこで、蔦重は日本橋進
出を決断します。しかし、これに怒ったのが蔦重の育ての親・駿河屋の親父様です。
親父様は「てめえの名が上がったらおさらばか。誰のおかげでここまでになったと思ってんだ!」と怒鳴り、殴り、階段から蹴り飛ばします。しかし、階段から転げ落ちた蔦重もひるみません。
「江戸の外れの吉原者が江戸文化の中心地に店を構えて成功すれば、吉原を蔑む人々の見る目が変わる。自分が成り上がれば、生まれや育ちなんか人の値打ちとは関係ないという証になる」と説得。
流血しながら階段を上り「それがこの町に育ててもらった拾い子の一等でけえ恩返しになりゃあしませんか」と親父様に迫ります。個人的には、23話の中ではこのシーンに最も引きこまれました。このほか、見どころといえば小悪魔・誰袖のエスカレートしていくハニートラップぶりも圧巻でした。
抜け荷の証拠がつかめないのなら抜け荷をさせればいいとばかりに、松前藩当主の弟・廣年に色気や涙といった女の武器を駆使して迫っていきました。これが、どんな結末を生むのか今後の大きな見どころになりそうです。また、23話では宴席のシーンで若元春、遠藤、錦木の現役幕内力士3人が関取役で出演しましたね。
出演時間は短かったですが、驚きのキャスティングでした。
今後もキャスティグでサプライズが用意されているようなので、こちらもお見逃しなく!