【大河ドラマ~べらぼう】第43話
蔦重の鈍感が生んだすれ違いの結末。寛政改革の終焉と名コンビの終わり

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大文字楼多賀袖
画:喜多川歌麿
浮世絵カフェ蔦重 蔵
これが蔦重との最後の仕事―。大河ドラマ「べらぼう」43話では、歌麿が蔦重への複雑な心境(恋心)を抱えながら女郎絵を50枚描き続けた末に、蔦重と決別するまでが描かれました。ドラマの冒頭、蔦重は歌麿を伴って吉原を訪れます。華やかだった吉原は老中・松平定信の寛政の改革により完全に勢いを失い、茶屋の親父から出てくる言葉は「競って金使って見栄をはるようなお客もいなくなっちまった」「なにもかも倹約、倹約…」と、愚痴ばかり。蔦重は、歌麿の絵の力で再び吉原の活気を取り戻すことを決意します。一方、歌麿は花魁たちを熱心にスケッチしながら、女性に対する観察眼をいよいよ鋭くしていきます。なかでも恋する女性の表情に魅了され、やがて恋する女性の姿を描くようになるのですが、蔦重はあちらこちらで女性たちをじっと観察する歌麿を見て、「あれはいい女がいねえか探しているに違いない。亡き妻・きよに代わる女性を探している」と勘違い。蔦重のこういった“鈍感さ”が歌麿をイラつかせた原因の一つだったと思われます。そして、蔦重が歌麿の想いに気づかぬまま時が経ったある日、版元の鱗形屋孫兵衛の長男・長兵衛が訪ねてきます。来訪の理由は、人気黄表紙の「金々先生栄花夢」の板木を譲りたいという蔦重にとって非常に喜ばしい話でしたが、話の途中で「お前、歌麿を囲い込むのをやめたんだろ」と、思いがけない言葉を投げかけられます。
そして、「西村屋へ養子に出ていた弟が、これでやっと歌麿と仕事ができる」と話していたことを告げます。「そんな話は聞いていない」と驚いた蔦重は、真意を明らかにするために歌麿の元を訪れ、問い詰めます。すると歌麿は、「恋心」をテーマに描いた美人大首絵を渡し、「俺が恋をしていたから描いた」と言います。これに対し、蔦重は「お前、おきよさんみたいな人を見つけたのか!」と、歌麿の想いを知らずにまた傷つけてしまいます。そして、二人の溝は深まり、歌麿は「俺、蔦重とはもう組まねえ」と告げ、決別を宣言します。これにより、ついに蔦重&歌麿の名コンビが解消。さらに、蔦重が帰宅すると今度は妻・ていが突然の陣痛に襲われ、母子ともに命の危険に。悲劇が次々と蔦重を襲ってきました。一方、これまで蔦重を苦しめてきた定信にも大きな挫折が待っていました。ロシア問題を解決した功績で大老に就任するという密約を信じ、将軍・家斉に「将軍補佐と老中の職を解き、職務を減らしたい」と願い出ます。当然、職務を解かれる代わりに大老職を命じられるものと思い込んでいたが、家斉から出た言葉は「将軍補佐および老中の役目を許すこととする。では越中の守、これよりは政にはかかわらず、ゆるりと休むがよい」という無情なもの。家斉や本多忠籌らの罠にはまり、定信は政の表舞台から退けられてしまいます。これで定信による寛政の改革が終焉を迎え、蔦重も歌麿との蜜月時代が終わり、ドラマも新たな時代に突入しました。
