【大河ドラマ~べらぼう】第40話
馬琴と北斎の登場で、新時代突入の予感。
失意の歌麿も蔦重の言葉に導かれ、再び江戸へ

画像
胴人形肢体機関(どうにんぎょうからくり)
黄表紙
作 曲亭馬琴 画 北尾重政 板元 蔦屋重三郎
1800年刊行
浮世絵カフェ蔦重 蔵書
画の解説。
画に膝に小僧が抱き着いている。この絵の解説として「膝かしらを膝小僧というのは子は親のすねをかじるもの。ゆえにすえのうえにある膝かしらを膝小僧という。」
跋文(あとがき)で馬琴は、「ただ顔かたちのうつくしさをもとめるのではなく、心の美しさを追求すべき。」と結んでいる。教訓と教養を読者に提供する黄表紙になっている。
曲亭馬琴、葛飾北斎など、新キャラ続々で新たな展開に―。大河ドラマ「べらぼう」40話では、「身上半減の店」をウリにした策があたり、繁盛していた蔦屋も一時のブームが去って客足が鈍り始めていました。そこで蔦重は、昔は大ヒットしたが今は絶版になっている他店の黄表紙の版木を安く買って売り出す、再印刷本に着手することを鶴屋に相談。また、執筆依頼のため、手鎖五十日刑から明けた山東京伝のもとを訪れます。そこで、京伝が新作の執筆を断る代わりに蔦重へ紹介したのが、戯作者・滝沢瑣吉(のちの曲亭馬琴)でした。蔦重はひとまず瑣吉を手代として預かりましたが、瑣吉はおらおらキャラでプライドの高い変わり者。店でも仕事を手伝わず、先輩手代のみの吉たちとも衝突してばかりでした。そんな折、役者絵師の勝川春章が弟子の勝川春郎(のちの葛飾北斎)を連れて蔦屋へやってきましたが、この春郎も瑣吉に負けない変わり者で、二人はさっそく衝突。店の前で派手な喧嘩を始めます。この二人、のちにタッグを組んで大ヒット作を生み出す名コンビとなるはずですので、それは今後のお楽しみになりそうです。一方、江戸市中の本屋ではこの頃、老中・松平定信の出版統制により黄表紙は教訓本となり、狂歌は格調高ものばかりでおもしろ味に欠け、錦絵は相撲絵や武者絵ばかりが流行していました。この状況を憂い、打破するために蔦重が頼ったのは、やはり喜多川歌麿でした。
この頃の歌麿は愛妻・きよの死後、蔦重との関係がぎこちなくなっていたこともあり、以前に栃木の豪商から依頼された仕事も兼ねて江戸を離れ、蔦重の母・つよに付き添われながら栃木で傷心を癒していました。その歌麿をその気にさせるため、蔦重が着目したのが、歌麿が描いたきよの絵でした。蔦重は、この絵から女性の顔を大きく描く「美人大首絵」の案を発案。大首絵は、人物の上半身や顔を大きく描き、視線や口元の表情で女性の微妙な感情を表現するという、これまでの浮世絵の常識を覆す画期的なものでした。そこで、この絵が描けるのは歌麿しかいないと、歌麿を説得するために蔦重は栃木へ向かいます。しかし、歌麿は「金繰りに行き詰っている蔦屋を、助けるあたりが欲しいってだけですよね」と、蔦重を冷たく突き放します。そして、生前のきよが「自分だけを見てほしい」と願っていたことから、「もう女は描かないって決めてるんで」と、蔦重の依頼を断ります。しかし、蔦重は「お前の絵が好きなやつ(きよ)は、お前が描けなくなることは決して望まねえ。これは間違いなく言い切れる。贔屓筋というものはそういうものだ」と話します。この説得に閉じた心を開いた歌麿は、再び江戸へ。そして蔦重のダメ出しに文句を言いつつ、大首絵の制作に集中します。今後、大首絵がどのように昇華していくか、
