べらぼう 江戸たいとう【大河ドラマ館】イベント実施報告
2025年8月24日(日曜日)に「江戸文化体験デー」で講演しました。たくさんの方にご来場をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

当日のプログラムですが、私は「浮世絵・地本文化の黄金期を創った蔦屋重三郎と吉原」というタイトルでお話しましたが、そのほかに摺師歴70年以上の松崎師匠が歌麿の「ポッピンを吹く娘」の摺り実演。栃木市からは阿部さんが「栃木と歌麿」というディープな歌麿話を。合計3部構成でイベントを実施しました。また併設でワークショップで摺り師体験をおこなったのですが盛況でお子様からご年配の方まで限定で100名をはるかに超える募集がありました。

大河ドラマ館でイベントを実施してドラマのファンの方がドラマをきっかけに浮世絵や地本に関心をもっていただいており、その熱量の高さを実感しました。イベントでは時間が限られたので、浅い作品紹介しかできなかったのですが、多数の深い質問もあったので次回はもっと深いお話ができるイベントを考えるつもりです。

【摺師 松崎師匠】
今回は有名な「ポッピンを吹く娘」を実演制作していただきました。今回は出来上がった浮世絵を実際に販売するための実演です。当然手抜き無し。さらに、私から色味など数点調整を依頼しています。今年、当時物の画が見つかったというニュースがありました。それを参考に背景の雲母摺りを通常より赤を強くしていただいています。ほか着物の模様などの色も調整しています。蔦屋重三郎もどうように、摺師さんと仕上げの段階でこのようなやり取りをやっていたはずです。
ポッピンをふく娘では版木を4枚の両面を使います。このときに8色の顔料を使います。当初に主板をつかって地墨みだけ自宅で済ませていただきました。イベント当日は色摺りだけを会場で実施しました。雲母摺りは粉がちらばるので自宅で仕上げてもらいます。来場者のかたも同じポッピンでも時代だけでなく彫師・摺師の技術や微妙な演出の違いなどで同じものはないことを知っていただきました。手作りの良さはすべてがオンリーワンであなただけの木版画なのです。そのかわり、全く同じものを大量に生産はできませんが。


完成品は、店舗及び浮世絵カフェ蔦重の公式通販サイトでも額装つきで販売いたします。出来上がったら写真を公開しますね。浮世絵はプレゼントとしても最適です。是非大切な人へプレゼントしてください。木版画でつくったオリジナルのギフトカードでメッセージも記入できます。9月にはできたてのフレッシュな「ポッピンを吹く娘」をお届けすることができます。通販サイトのご案内はもうしばらくお待ちください。
【栃木と歌麿】
歌麿の雪月花という大作をご存じでしょうか?謎に包まれた肉筆の大作で幅が3m以上ある3部作です。晩年の歌麿が描きましたが豪華で臨場感にあふれる妓楼の様子が描かれています。今にも話しだしそうな女郎たちが色とりどりの衣装をまとい、当時流行していた笹紅で化粧している姿は風俗史としても貴重です。残念ながらオリジナルは海外に流出しており見ることができませんが、栃木市立美術館にいくと高精細複製画「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」の3点をまじかで見学できます。
あまり知られていませんが、晩年の歌麿は栃木の善野氏がパトロンとなって肉筆画の作成を歌麿に依頼していたようです。その縁もあって、歌麿の肉筆画が最大7点も保管されていた時期があったようです。1点だけでも貴重なのに!また、蔦屋重三郎と鶴屋さんと山東京伝など3名で日光まで旅行にいっています。当時、狂歌師栃木とかかわりを持っていた可能性もあります。是非肉筆の歌麿に会いに栃木に行きましょう!