- 江戸木版画とは?- つくりかた
見て・触って・五感で愉しむ和紙の芸術
浮世絵カフェ蔦重は江戸木版画職人を応援しています。
木版画の魅力は多数あります。知らない人は印刷との違いも判らないと思います。プリンターとはことなり、版元を中心に戯作者・絵師・彫師・摺師が協力して作っているからこそ、現代でも奥深い魅力と価値を持っていると感じています。一言では語りつくせませんが私が、木版画の泥沼にはまった理由を箇条書きでならべてみました。
木版画の魅力
- 江戸時代の歴史・風俗・習慣・ファッションを知ることができる
- 和紙だからこそ部屋に飾ると印刷物より存在感がある。美術品としての価値向上。
- 雲母をつかった白・黒・紅の雲母摺は見る方向や光によって表情が変わる。
- 人間業の限界を超えた毛割り(ほそい髪の毛)の表現
- 摺師技術はすごい!和紙だからこそ表現できる凹凸(リアルなエンボス)印刷では真似ができない。
- 印刷物では無い、木版画には手で触る!という楽しみがある。
- 浮世絵に限らず古書の場合は、オリジナル、復刻版だけでなく、初摺から2摺、3摺りと複数の摺り分けがあって、その違いや改変を調べるたのしみがある。
- 江戸時代の摺師彫師の技術から明治~現代の職人の技の変化やアレンジを愉しむ。
- 江戸時代の作品でも、現代の職人が基本的には同じ作品を再現できる。ゴッホなどの一枚もの肉筆画では不可能!肉筆画の場合は、コピーかリトグラフだが肉筆画の質感は再現できない。
- 現代でも江戸時代の本物の木版画をもつという所有欲をみたしてくれる。
- 美自術品としては価値が上がることはあっても下がることは少ない。資産価値が高い。
世界的に資産価値が高い浮世絵
世界的に日本のコンテンツが人気になっています。和食やアニメにかぎらず、「浮世絵」は外国人に大人気です。日本人より詳しいくらいです。しかも高額で大人買いする観光客も多数います。木版画は蒐集価値が高いことを証明する事例があります。
2023年に北斎の「神奈川沖浪裏」たった1枚で276万USD(約3.7億円)でクリスティーズで落札されました。
肉筆画ではなく複製できる浮世絵木版画としては過去最高値を記録しています。この価格は複製品としては意味異次元の高評価です。肉筆画はたった1枚だから希少価値があって高額になります。「神奈川沖浪裏」はひとつの説として現存数は100枚以上残っている可能性があるらしいのです。木版画は1度に200枚くらいは摺るので、古いものでも探せば所有できる可能性がある。肉筆画の場合は基本的に1点ものなので美術品として本物を所有することは高額で困難です。オリジナル(ここでの定義は初摺の版元製造)木版画の場合は、費用的にも日本人なら真面目に働いていれば誰でも、オリジナルの浮世絵を所有できる可能性は十分あります。しかも、オリジナルの木版画は値下がりずらいので資産価値が高いのです。断言はできませんが、浮世絵は世界的なコンテンツになっているので、インフレで世界中が成長をつづけるのであれば、値段が上がっていく可能性が高いと思慮します。下がっても一時的で限定的でしょう。
オリジナルと復刻木版画の違い
版木は1000枚くらいすると緩くなり、線がかけたりシャープさがなくなります。あたらしく、版木を制作するときには、博物館もしくは、東京伝統木版画工芸協同組合のような団体からオリジナルの浮世絵を借りて、職人が版木を再生するのです。これは江戸時代から繰り替えし行われている作業です。職人によっては、版木や和紙、絵の具の原料まで江戸時代に使用したものにこだわる場合もあれば、現代の素材でバージョンアップしてより、改善した作品を制作することもあります。さらには、職人の好みで、線をリノベーションする場合もあります。「神奈川沖浪裏」でも復刻、複製、アレンジなどで微妙に違うがある作品が出来上がります。現在、この表現の学術的な厳密さはあいまいだと感じています。浮世絵カフェでは「神奈川沖浪裏」の復刻木版画を扱っていますが、当時に忠実に再現した木版画と、倍摺といって2倍の大きさにして見栄え良くした作品を販売しています。さらに、アレンジしたポスターやポストカードも。好みによって変幻自在に楽しめるのも木版画の魅力だとおもっています。
日本人にもっと知ってほしいのは、この276万USDで落札された浮世絵と、現在の職人がつくっている江戸木版画は「基本的に同じ」であることです。276万USDで落札された作品と浮世絵カフェで販売している「神奈川沖浪裏」は基本的には同じ肉筆画をもとに版木をつくって現代の摺師が摺っています。厳密に細かく言えば発売している版元や彫師、摺師も材料も違いはありますが、製造物として、木版画としては同等以上の品質とおもってよいでしょう。劣化もしてないのですから。
浮世絵カフェでは、オリジナルも復刻木版画も常設展示しています。見て、触って木版画を愉しんでください。弊社では江戸木版画職人を応援しています。伝統技術を紡ぎ続けるには、皆さんのご理解とご支援が必要です。日本人の生活に木版画をもっと身近にするために小さな浮世絵美術館を営業しています。是非、足を運んで木版画を体験して下さい。
木版画の技巧について
空摺り 「金龍山浅草寺 広重」

きめ出し 「浅草田圃 広重」

空摺り 「箕輪三河島 広重」