隅田川水神の森真崎(すみだがわすいじんのもりまさき)

本作品は向島から水神の森と隅田川の対岸の真崎(真崎稲荷明神社)の風景です。真崎主変は数多くの狂歌でも詠われた風光明媚な景勝地でした。
この水神は、水難、火事除けのご利益があるとされ帆掛け船を操る船頭たちばかりでなく庶民の間でも厚い信仰を得ていました。真崎稲荷明神社は現在の石浜神社に合祀されています。隅田川の東岸の堤は、御殿山、飛鳥山と並ぶ桜の名所となっていました。全体に柔らかな色合いで、奥には男体山と女体山の輪郭もはっきりと筑波山が見えます。手前には春爛漫で桜が満開を迎えています。桜、大川、筑波山と、広重得意の遠近法を駆使した風光明媚な景色となっています。